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センバツで見つけた気になるドラフトの逸材
センバツで見つけた気になるドラフトの逸材

「センバツ高校野球で存在感を示した9人のドラフト逸材」元ヤクルト編成部長のノムさん“参謀”が選ぶ

 第97回選抜高校野球は、いよいよ今日30日、甲子園で決勝が行われ、横浜と智弁和歌山が対戦する。今大会でプロのスカウトの目に留まったドラフト候補は誰だったのか。ヤクルトで編成部長を務めてコーチとしては故・野村克也氏の右腕として活躍した松井優典氏に夏への成長が楽しみな逸材をリストアップしてもらった。

 155キロ石垣の評価は3番手

 春の甲子園の話題を独占したのは、センバツ過去最速記録となる155キロを叩きだした健大高崎の石垣元気。だが、ヤクルト編成部長時代にドラフトの責任者を務め、阪神時代にはスカウトとして選手発掘に尽力し、ヘッドコーチとしても、ヤクルト、阪神で名将“ノムさん”を支えた松井氏が選んだ今大会ナンバーワンの逸材は、石垣ではなく、決勝の舞台に進出した横浜の左腕エース奥村頼人だ。
 最速は146キロで圧巻は西日本短大付戦で救援登板した6回にやってのけた三者連続三球三振。メジャーでイマキュレートイニングと呼ばれる珍しい記録だった。
「空振りの三振はひとつだけだったが、高めのストレートで明らかに取りにいっていた。スピードガン表示以上の速さを打者に感じさせるキレがある。無駄の少ない安定したフォームから右打者の外角でストライクが取れる。いわゆるサウスポーの原点球を操れて、コントロールがよくストライクを先行できるのもセンス。またストレートだけでなくチェンジアっプもウインニングショットで使えるのがいい」
 そして奥村は打者としても4番を任されて4試合で打率.375、二塁打2本、三塁打1本、3打点の成績を残している。マウンドに立たない時はレフトを守った。
 松井氏は「二刀流の可能性がある」と見ている。
「逆方向に長打も打てるし、内角球に肘をたたんで反応できる対応力が素晴らしい。また走者としても、1球、1球に集中してバッテリーのワンバウンドにも常にスタートを切ろうと試みるなどしていた。その姿勢を見ると二刀流として挑戦してもらいたいと思える選手。上位指名の可能性がある」
 松井氏は、横浜からもう一人、キャプテンで「3番・センター」の阿部葉太を「野手ナンバーワン」としてピックアップした。構えは、ドジャースの大谷翔平にそっくりで4試合で打率.353を残し、沖縄尚学戦では、右中間に本塁打も放ち、2盗塁もしている。 
「走攻守がかなり高いレベルで揃っている。三塁走者としてのゴロゴーのスタートの良さに野球センスも感じさせる。健大高崎戦では、好投手の下重賢慎から第1打席に内角球の詰まらされて凡退したが、続く第2打席はチャンスでその内角球に開くことなく逆方向につまりながらタイムリーを打った。これはなかなかできる打撃じゃない。次の打席では石垣からタイムリーを打っている。広島の前田智徳に重なる」
 今大会で3番目の評価がその石垣だ。
「アベレージで150キロを超えてくるのは魅力。剛球タイプ。力んでいるわけでもないのにリリースでのボールへのパワーの伝え方がいいのだろう。1番の評価にしなかったのは、あのストレートを生かす投球の幅へのノビシロの期待。左脇腹を痛めた影響からか、短いイニング(3試合7回)しか投げなかった。先発の可能性も見せてもらいと感じた」

 

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