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センバツで見つけた気になるドラフトの逸材
センバツで見つけた気になるドラフトの逸材

「センバツ高校野球で存在感を示した9人のドラフト逸材」元ヤクルト編成部長のノムさん“参謀”が選ぶ

 捕手では、早実の1m84、79Kgの山中晴翔が目に留まった。
「グリップが先に出てくる打撃に課題はあるが、フットワークがよく、フレーミングを使ったキャッチングスキルも高い。投手への返球のリズムがいい部分にもセンスを感じる。チームメイトの左腕、中村心大もドラフト候補としてあがってくる好投手だったが、その力を引き出した山中のリードも目に付いた。投手の長所を生かすタイプの配球。打撃の修正も含めて夏への成長を見たい」
 今回のリストには入れなかったが、最速146キロをマークしたその早実の左腕、山中も「腕はアーム式だが、バッターはタイミングが取り辛い。球持ちがいいのも長所」と評価した。
 一方でプロのスカウトの間では、ドラフト候補としてリストされている何人かの選手については、松井氏は、夏への期待を込めて評価を先送りにしてあえて今回のリストに入れなかった。
 決勝戦での先発が予想される智弁和歌山のエース渡辺颯人は、1m80、88kgの大型右腕で、ここまで4試合、26回を投げて防御率は0.35。最速145キロを出した。だが、松井氏は「高いレベルにある投手だが、まとまりすぎていて何かひとつ突出した部分が弱い」との評価。健大高崎の左腕、下重も「球持ちがよくスピードガン以上の体感速度を感じさせるが、今大会の最速は143キロだった。あと2、3キロ成長が欲しい」と、今後の成長に期待した。
 1m81、88の大型右腕で最速147キロを誇る東洋対姫路の阪下漣は、大会直前に右肘の靭帯を痛めて、1イニングを投げただけで降板した。「その影響からは肘が下がってしまっていた」と松井氏。
 また1回戦の健大高崎戦で下重と投げ合い、10回、138球、6安打8奪三振3失点(自責2)の熱投を見せた明徳義塾の左腕、池崎安侍朗についても「右打者へのクロスファイアーが素晴らしく球種も豊富。だが、最速は141キロ止まりで、同じ左腕の奥村に比べると決め手に欠ける」と評価を先送りした。
 打者では、準決勝の浦和実業戦で4安打し、大会打率を.467にした智弁和歌山の「4番・ライト」の福元聖矢が評判だが、「もう少し外野手としてのポテンシャルの底上げを求めたい」という。
 松井氏はスカウト目線でクライマックスを迎える今大会をこう総括した。
「ドラフト候補を探す中で豊作か不作の2者選択で言うなら不作。ただ春から夏にかけて高校生は飛躍的に成長する。特に最近の高校生は数年前に比べて体が大きくなるし、決勝戦の経験もプラスになるだろう」
 決勝戦には松井氏がリストアップした3選手が出場する。

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