
センバツ優勝の横浜2年生エース織田翔希はOB松坂大輔氏を超える怪物なのか…2026年のドラフト候補逸材が揃った大会
第97回選抜高校野球の決勝が30日、甲子園で行われ、横浜が11―4で智弁和歌山に快勝して19年ぶり4度目の優勝を果たした。勝負の分かれ目となる6回の1球継投策が話題を集めているが、来年のドラフト候補として注目を集めたのが先発して1失点でゲームを作った2年生の織田翔希だ。今大会では最速152キロをマークしている。ヤクルトの元編成部長の松井優典氏によると、他にも2年生に逸材の揃った大会だったという。
怪物超えの152キロをマーク
勝負を分けたのは横浜の村田浩明監督が繰り出した1球継投だった。3-1で迎えた6回一死三塁。智弁和歌山のプロ注目の4番、福元聖矢がカウント2-2となったところで織田から左腕の片山大輔にスイッチしたのだ。片山は今大会で打者2人に投げただけだった。だが、片山が投じたスライダーに福元はスイングアウト。
村田監督は、試合後、「あれが大きな勝敗を分けた。本当に魂のこもった1球だったと思います」と振り返った。さらに村田監督は、1球でレフトを守っていたエースの奥村頼人に代えた。荒井優聖の打球はセンター前を襲ったが、キャプテンの阿部葉太がダイビングキャッチ。超美技で、この回を無失点に切り抜けると、その裏に大量6点を奪い、勝利を決定づけた。
実は、先発の織田は、2回戦の沖縄尚学戦で割った爪が再び悪化していたという。それでも6回途中までを最速148キロのストレートを軸に、カーブ、スライダー、チェンジアップを織り込んでわずか3安打、スクイズで失った1点だけに抑えてゲームを作った。
早くもプロのスカウトがチェックしているのが、この織田だ。
ヤクルトの元編成部長でドラフトの陣頭指揮を執り、“名将”野村克也氏をコーチとして支えたノムさんの右腕としても知られる松井も、「2026年のドラフト1位候補にあがってくる可能性のある大型右腕」と評価している。
「なんといってもストレートの球威でしょう。腕がしなり、リリースポイントでボールを切れるので力がボールに伝わる。ストライクもとれる。また長身を生かしたフォームでボールに角度もあり、素材としては特Aクラス」
1m85、75Kgの大型右腕。1回戦の市和歌山戦では152キロをマークした。あの横浜の偉大なるOB、松坂大輔氏が、高校時代にマークした151キロを2年生ですでに1キロ上回ったのである。
では織田は松坂氏を超える怪物なのか?
松井氏は「松坂の高校時代と比べると物足りなさはある」と言う。
「タイプが違うのだが、松坂は高校時代から下半身でリードして左肩から打者に対してラインを作って向かっていくような形があった。だから、より強くコントロールされたボールを投げることができた。織田の投球フォームは、また松坂とは違うのだが、まだ下半身で引っ張っていくところまできていない。夏、冬、春、夏と、まだまだ時間がある中で、どこまで進化していくのか。松坂超えは、そのノビシロ次第ではないか」
それが横浜の2年生時の松坂氏を直接視察したことがあるという松井氏が抱いたこの時点での織田とのモンスター比較論である。