
モンスターの遺伝子を持つ井上浩樹が「手首まで入った。えぐい」戦慄のボディブローで“ロシアからの刺客”に3回KO勝利で約1年ぶりの再起戦を飾る
引退を口にしたのはそれが2度目。2020年7月に永田に7回負傷TKO負けを喫して引退を発表した。そこから再起してその再戦は4年越しのリベンジマッチだった。
負けを知り最強の遺伝子を持つ男は強くなった。
2度目の再起勝利の味はどうだったのか?
「練習も楽しかった。試合も楽しかった。ないこともないが減量がないの最高。ボクシングも最高です」
いい笑顔だった。
通常体重が74キロはある井上はリミットが63.50キロのスーパーライト級時代は10キロを超える減量に苦しんだ。今回はウエルター級の66.68キロに近い67キロ契約。「ここからあと3.5キロというところでそれがないのはほんと最高」という。ただ「減量がなくなって元気に使えるステップを1、2ラウンドに使えなかったのが反省点」とも付け加えた。
大橋秀行会長も「いいノックアウトだった」と評価した。
「1、2ラウンドを見たとき、8ラウンドまでいって、ちょっとの差で勝つんじゃないかなと一瞬、思った。ロシアの選手はクセものが多いし、それもありかなと。でも入り際にいいボディアッパーを打った。つめも良かった、相手は這いつくばったからね。10オンスのグローブも合っている」
これからはその10オンスのグローブを使用するウエルター級が主戦場となる。この階級には、「日本で最初のウエルター級世界王者になる男」と必ず会見で挨拶する佐々木尽(八王子中屋)が君臨している。佐々木は米国へ渡りターゲットとするWBO世界同級王者、ブライアン・ノーマンJr.(米国)の防衛戦を観戦して、ノーマンが、防衛に成功すると直接「挑戦状」を叩きつけている。
だが、井上は「今日の内容じゃ恐れ多い」と佐々木について多くを語らなかった。
今後のモチベーションは?と聞くと「みんなが楽しく暮らすこと」と返して囲みメディアの笑いを誘った。
彼が言う「みんな」とは、井上ファミリーのことだ。
リング上では「いいバトンを渡すことができた」と口にしている。
渡した相手は井上尚弥。尚弥は5月4日に米ラスベガスの“聖地”T―モバイルアリーナのメインでWBA2位の「地獄のパンチを持つ男」ラモン・カルデナス(米国)との防衛戦が控えている。
「尚弥さんたちが試合に挑めるようにサポートするのがモチベーションですね」
これまでも海外遠征では、井上と拓真が、現地での“パシリ役”まで買って出て公私のすべてをサポートしてきた。
だが、口にしなかった本音はある。ボクサーとして、そして井上ファミリーの一員としての矜持を失わないファイトでの勝利だろう。