
なぜ巨人のマー君は5回1失点で586日ぶりの日米通算198勝をマークすることができたのか…「感謝しかない」甲斐拓也が幻惑のリードで引き出した新スタイルに見えた金字塔の可能性
打線もマー君を援護した。先頭に立ったのが、兵庫・伊丹の少年野球時代にバッテリーを組んでいた同級生の坂本だ。2回に一死一、三塁からセンターへ先制犠飛。4回に今季初ヒットを記録すると、1点差に詰め寄られていた8回にも一死満塁からレフトへ犠飛を決めて5-3とリードを広げた。
「勇人もまだ1本出てなかったというところで、俺も開幕がまだできてない、とゲーム前に言っていたので2人してこのゲームで存在感を少し出せたかなと思います」
そして盤石のリリーフ陣が、移籍初勝利へのタスキをつないだ。6回の田中瑛斗、7回の高梨は、それぞれ1点を失ったが、リードは守り田中の勝利投手権利は消さなかった。そして8回大勢、9回マルティネスがパーフェクトリレーである。
中日の先発は同じ36歳の大野だった。田中にとってそれも刺激になったに違いない。
池田氏はあと2勝に迫った日米通算200勝は、「5月頭までに達成するのでは」と見ている。
「強力な打線に強力な中継ぎ陣。予想通り、マー君が白星を重ねていけるパターンで勝った。緊張もあって球数がかかったが、6回、7回までいける可能性は見せたと思う。本人は、日米通算200勝は通過点だと考えているんだと思うし、むしろ日米通算200勝ができるかどうかの議論ではなく、ローテーに入っていける可能性を見せたと思う」
ただ打線が弱い中日だから1失点に抑えられたのでは?という議論もある。
ローテーに入るなら、横浜DeNA、阪神らの強力打線のチームと対峙しなければならない。来週の日程は変則で木曜日にゲームがないため、田中の登板が一度飛ぶかもしれないが、その次の17日の木曜日は横浜DeNA戦である。それでも池田氏は「強力打線ほど、投球術がはまる可能性がある」と見ている。
ヒーローインタビューで田中は、巨人とはどんなチームですか?と聞かれ、「難しいですね、その質問は」と苦笑いを浮かべた。
そしてこう返した。
「もう最高のチームです」
田中は野球人生の最高の終着点を見つけたのかもしれない。