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井上尚弥の5.4米ラスベガスでの防衛戦の会見が行われた(写真・山口裕朗)
井上尚弥の5.4米ラスベガスでの防衛戦の会見が行われた(写真・山口裕朗)

「天狗にならない」井上尚弥が過去最高のファイトマネーで「負けたら終わり」の覚悟で挑む5.4米ラスベガス決戦に向けて取り入れる「脳のスタミナ」トレってなんだ?

 井上は4日後の4月10日に32歳になる。
 井上は「32歳?バリバリやりますよ。今回はかなり強度なトレーニングを今週から入れる」と明かす。
「メンタルトレを多く入れる。ラスベガスのTーモバイルでやるんだから精神的に強くしないとね。脳のスタミナ、精神的な部分が大事になる。メンタルトレ?強度なトレーニングがメンタルトレになる。それをやりきるってこと」
 モンスター流の究極のメンタルトレーニング。特別なメンタルトレーナーの指導を受けるわけではなく、厳しいトレーニングを残り越えたという自信でメンタルを鍛えるのだ。
 ただ一歩間違えばオーバーワークや、怪我をするという危険がある。危険と裏腹なのは、井上自身も「よく言っているように紙一重です」と重々承知。大橋会長「オーバーワークを心配している。強くなるか、怪我をするか、ギリギリの戦いをしている」との持論を展開した上で、こう説明した。
「八重トレは、故障をしないトレーニング。もう数年やっているが効果は間違いなく出ている。八重樫理論では、年齢がいくほどもっとトレーニングをやらないと追いつかないらしい。年齢、意識、自分との戦いじゃないですか」
 現役時代に3階級制覇を成し遂げた八重樫東トレーナーは、複数のフィジカルトレーナーの指導を受け、サプリメントの専門家の知識も吸収し、自らの肉体を実験台に、ボクサーに適した究極のトレーニング方法を編み出している。バンタム級へ転向時から井上は、その八重トレに取り組み始めた。メンタルに影響を及ぼすほどのハードトレを決意したのも八重樫トレーナーへの信頼の裏返しである。
 T-モバイルアリーナは、すでに5000ドル(約73万5000円)の高額なリングサイド席から売れていて、当日は満員になる可能性がある。メキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」のウイーク。メキシコ系米国人のカルデナスへの応援で、井上はアウエーの戦いを余儀なくされるなるのか、それとも待望のモンスターの登場に井上への声援が圧倒するのか、これも当日にならなければわからない。
「むこうの気合の入り方は違う。相手のホームアドバンテージ?そりゃあるんじゃないですか。自分もそう。応援は力なりますから、それはでかいと思う」
 カルデナスに追い風が吹くことも計算に入れている。
 だからこそ今回はメンタルの強さを追い求めるのだ。
 さらにカルデナスのファイトスタイルへの警戒もある。
 対戦相手のカルデナスは27戦26勝(14KO)1敗のボクサーファイター。「地獄のパンチを持つ男」の異名を持ち、3戦前になる昨年2月にはWBC中米カリブスーパーバンタム級王座決定戦でイスラエル・ロドリゲス・ピカソ(メキシコ)の顎を右のカウンターで粉砕して6ラウンドTKO勝利した。プロ13戦目に判定で1敗しているが、減量苦でのコンディション不良が原因で、以降14連勝中。8年間負けはない。 
 前戦は2月のブラインアン・アコスタ(メキシコ)戦で、テンプルにパンチを浴びてプロ初のダウンを喫したのだがなんとか3-0判定で勝ち切った。アコスタは、井上がWBO&WBC世界スーパーバンタム級王者、スティーブン・フルトン(米国)へ挑戦する際のスパーリングパートナーだった。

 

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