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井上尚弥の5.4米ラスベガスでの防衛戦の会見が行われた(写真・山口裕朗)
井上尚弥の5.4米ラスベガスでの防衛戦の会見が行われた(写真・山口裕朗)

「天狗にならない」井上尚弥が過去最高のファイトマネーで「負けたら終わり」の覚悟で挑む5.4米ラスベガス決戦に向けて取り入れる「脳のスタミナ」トレってなんだ?

「映像をもらった時、会長と『意外と気が抜けないですね?』という会話をした。骨格的にもスーパーバンタム級。リードパンチが優れていて凄くタフな印象を持っている。アコスタとの試合は、フルに見ていないが、アコスタは凄くパワーがあってタフな選手なので、その選手にダウンを奪われながら判定で勝つのは実力があるし、精神力とタフネスを兼ね備えている」
 井上もそう警戒している。
 父でトレーナーの真吾氏も「ジャブがいい。ジャブをもらって惑わされるとペースを取りづらい。リードジャブで反応してやっていきたい。いつも通りできれば会場は湧く。力まず、いつ通り1ラウンドずつ持っていきたい」と慎重だ。
 当初の対戦相手は、WBC1位で現役の医大生であるアラン・ピカソ(メキシコ)だったが、親が「1ラウンドで終わる」という周囲の声に怖気づいて挑戦を辞退した。代役に指名されたカルデナスは、打って変わって地元メディアに「36分間で人生を変える」「井上をリスペクトしているが最強とは思わない」「やるかやられるかの紙一重の戦い。倒しにいく」と明かすなど虎視眈々と番狂わせを狙っている。
 ただ好戦的なスタイルは井上の望むところ。
「そういう覚悟でくれば、ひりついた、おもしろい試合になる。せっかくアメリカでやるんだからね。逃げ回られるとおもしろい試合にならない」
 ラスベガスではインパクトのある勝ち方を求められる。
「もちろんアメリカで試合するのであれば、KOは考えていきたい。KOでも判定でも魅せるボクシング」
 もし相手にディフェンシブな戦いを徹底されたらKOチャンスは簡単ではない。新聖地でKOデビューを果たすには、相手が向かってくることが条件になる。スキル、パンチ力、スピード、何ひとつ井上がカルデナスに劣る点はない。ただ打ち合いには、危険もはらんでいる。
 カルデナスも「井上の長所は爆発力だが、ディフェスはそうでもない。ネリにだってダウンを奪われた」と豪語している。
 勝てば“カネロ“アルバレスがスーパーミドル級の4団体統一王者時代に作った4つのベルトの防衛記録「4」に並ぶ。KOで勝てば世界王者での通算KO勝利が、今は並んでいる元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(米国)を抜き最多の23KOとなる。
 だが、井上は「記録について思うことはないですね。記録を狙って試合をするわけではない。5月5日にベストを尽くした結果更新できれば。それくらいですね」と関心を示さなかった。
 この試合は、全米ではESPNが生放映するが、ドジャースーブレーブスの中継の後のリレー中継となる。大谷翔平から井上へバトンが渡されるわけだ。
 井上は3月18日のドジャース―カブスの東京ドーム開幕戦ではプレーボールコールを担当した。「1番・DH」で出場した大谷がまさにバッタ―ボックスへ入ろうとする、その同じフィールドに立った。
「自分が(昨年5月6日にルイス・ネリと)試合をした時とは、また違った東京ドームの迫力を感じた。世界的なスター性を見せてもらって刺激的だった」という。
「同じ日本人アスリートとしてラスベガスの新聖地で何を示したいのか?」
 記者会見でそう質問した。
「5月5日の放送の流れ(ドジャース戦の後のリレー中継)も聞いている。『日本人、ここにあるぞ』という日本人の素晴らしさ、強さを同時に見せていきたい」
 井上か大谷か。メイドインJAPANの本物のモンスターはどっちかを4年ぶりに再上陸するラスベガスで示すことになるだろう。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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