
なぜ阪神の藤川監督は1点を追う8回無死一塁で「代打佐藤輝明」ではなくバントを選択しなかったのか…甲子園“開幕戦”でヤクルトに0-1惜敗
阪神が8日、本拠地甲子園での“開幕戦”となるヤクルト戦に0-1で敗れて連勝が3でストップした。先発の才木浩人(26)が8回を1失点に抑える好投を見せたが、ヤクルトの高橋奎二(27)ー石山泰稚(36)リレーの前に打線がわずか3安打無得点と沈黙した・「体調不良」でスタメンを外れた佐藤輝明(26)が1点を追う8回無死一塁で代打出場したが三振に倒れて走者を進めることさえできなかった。
サトテルは「体調不良」でスタメン外れる
満員札止めの甲子園のボルテージが最高潮に達したのは8回だった。
1点を追う無死一塁で、佐藤の名前がアナウンスされた。
この回に才木と高橋の息づまる投手戦が動いた。才木が二死一、二塁からサンタナにライト線にタイムリー二塁打を打たれて、均衡が破れたが、その裏、先頭の木浪が、三遊間ヒットで出塁して反撃機を作った。
「体調不良」で、試合前の練習に姿を見せず、スタメンから外れていた佐藤は、木浪が打席に入ると同時にネクストバッターズサークルに入っていた。
だが、カウント2-2からの高めの見逃せば、おそらくボールのカットボールに手を出して空振りの三振。甲子園を溜息が包む。
続く近本もセンターフライ。ベンチも動かず、中野もショートフライに終わり反撃ならず。9回も、この回からスイッチした石山の前に代打高寺、森下、大山が三者凡退。対巨人に3連勝して凱旋した本拠地の開幕戦で手痛い1敗を喫した。
現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人は、8回のベンチの采配に疑問を投げかけた。
「ネクストに佐藤が入っていたが、木浪が出塁した時点で、ピンチバンターに切り替えて、まずバントで送るべきでしょう。送れば得点圏に強い近本に回せる。ホームで、後攻めなんだから、一気に逆転ではなくまず同点を狙う場面。佐藤に最低でも進塁打という部分を期待するのは難しい。3番の渡邉のところでも代打を送れるわけだから、佐藤の起用は、焦らずにもっと先でもよかった」
しかも、佐藤と高橋は左対左のマッチングとなり、うまく高めのカットボールに誘われてしまっていた。同評論家は、「ブルペンの投手力はヤクルトより阪神が上。それを考えるとまず同点狙いでよかった」と付け加えた。
ただ昨年のデータを見ると、佐藤と高橋の対戦は9月7日の1試合だけだったが、いきなり初回に2ランを放ち、2つの四球を選んでいる。佐藤は、2022年にも高橋から2ランを放っており、藤川監督は、そのデータをもとに代打佐藤を選択したのかもしれなかった。
藤川監督は、1日の横浜DeNA戦で、ジャクソンに相性の悪かった前川をスタメンから外して井上を起用するなど、その采配にデータを重視する傾向はみられる。
もし佐藤が期待に応えていれば名采配と評価されていたのかもしれないが、結果論ではなく、「バントを選択すべきだったのでは?」との疑問が出てくるのも当然の場面だった。