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井上にスパーリングパートナーに指名された日本スーパーフェザー級2位の砂川隆祐(写真・大橋ジム提供)
井上にスパーリングパートナーに指名された日本スーパーフェザー級2位の砂川隆祐(写真・大橋ジム提供)

なぜ井上尚弥は「ラスベガスの試合は自信しかない」と豪語したのか…“仮想カルデナス”として2階級上の日本人ボクサーを指名

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)が12日、横浜市内のジムで日本スーパーフェザー級2位の砂川隆祐(26、沖縄ワールドリング)と6ラウンドのスパーリングを行った。大橋ジムがメディアに向けて中間報告したもの。井上は5月4日に米ラスベガスで行うWBA1位のラモン・カルデナス(29、米国)との防衛戦に向けて「自信しかない」と豪語した。

 「海外から呼ぶよりは自分で見て選んだ方がイメージしやすい」

 モンスターが4年ぶりに再上陸するラスベガス決戦に向けて指名した“仮想カルデナス”は、日本人でしかも1m70もある2階級上のスーパーフェザー級日本2位の砂川だった。第1次スパーでは、IBF世界ライト級王者、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)のスパー相手を務め、これまで何度も井上のパートナーとして来日しているジャフェスリー・ラミド(米国)と拳を交えたが、最終段階に入った第2次スパーには日本人ボクサーを指名した。
「カルデナス選手自体が正統派で、日本人でも多いようなスタイルだと思った。海外から呼ぶよりは自分で見て選んだ方がイメージしやすいかなと思って。海外から呼んで『あれ、意外と違ったな』というパターンが多いから。イメージできそうな相手ということで選びました」
 砂川は4戦3勝(2KO)1引き分けの戦績のボクサーファイター。昨年12月の最強挑戦者決定戦では、原優奈(真正)とドローに終わり優勢点で敗者扱いとなり、日本王者の奈良井翼(RK蒲田)への挑戦権を獲得できなかったが、ジャブからしっかりとボクシングを組み立て、一発一発、強打もできるフィジカルの強い正統派。
 井上は「地獄のパンチを持つ男」と呼ばれ、27戦26勝(14KO)1敗のカルデナスを「リードパンチが優れていて凄くタフな印象を持っている」と分析している。 
 その「ジャブ」と2階級上で「タフ」という2つを兼ねている砂川は、“仮想カルデナス”にピッタリというわけだ。
 砂川自身も、5月13日に上原拓哉(ライオンズ)とのスーパーフェザー級8回戦を控えているため、井上と同じペースで仕上げていてここまでは5月28日に横浜でIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦に挑む力石政法(大橋)の相手を務めていた。
 もう一人のパートナーも日本人で22日に日本スーパーバンタム級の王座決定戦に出場する同級1位の石井渡士也(24、REBOOT.IBA)。11戦8勝(5KO)1敗2分けの元日本バンタム級ユース王者で、石井はスピードがあってジャブのいいボクサーファイター。石井とのスパーではスピードを意識できる。
 先週は、元3階級制覇王者、八重樫東トレーナーの指導でフィジカルの強化トレーニングを消化した。
「今回はメンタルトレを多く入れる。ラスベガスのTーモバイルでやるんだから精神的に強くしないとね。脳のスタミナ、精神的な部分が大事になる。メンタルトレ?強度なトレーニングがメンタルトレになる。それをやりきるってこと」
 会場は“新聖地”のT―モバイルアリーナで井上がメイン。しかも、NY、サウジアラビアでもビッグマッチが組まれたメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」ウィークの“トリ”を務める。予想されるプレッシャーに打ち勝つために32歳になったばかりの肉体にハードトレを課した。今はかなりの疲労が残っているはずなのだが、大橋秀行会長が、「絶好調です」と、絶賛するほどのスパー内容だったという。
「見ての通りというか、すごく良く仕上がっていますね」
 井上にも手応えがある。
「スーパーバンタム級でも次が6戦目で、自分の体と向き合いながら良いコンディションというものがすごく分かってきた。バンタム級の最後はウエートもきつくなっていて、減量を意識するトレーニングも多くなってしまっていた。最後の方がしんどくて動かない、というのがありながら過ごす時期もあったので。スーパーバンタム級では最後まで試合のためのトレーニングができる階級。次が6試合目で、疲れを抜きながらのコンディション作り、追い込みながらというのが本当に実感してできるなとようやく感じてきた」

 

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