
なぜ井上尚弥は「ラスベガスの試合は自信しかない」と豪語したのか…“仮想カルデナス”として2階級上の日本人ボクサーを指名
減量苦から完全に解放されたわけではないが、この階級で5戦を戦い、ここが適性階級だとの自負がある。4年前とは「立場、注目度が違う」中での“本場”への再上陸のタイミング的としてはこれ以上ない。
だからこう豪語した。
「そうですね、なのでラスベガスの試合は自信しかない」
一方のカルデナスも、今回の興行をプロモートしているトップランク社の公式サイトのインタビューに「井上は4年ぶりのアメリカでの試合だから、やる気満々だと思う。私は井上に対抗するための最高のバージョンを準備している」と答えて、万全の状況で、モンスターの上陸を待ち受けることを明かしている。
カルデナスの陣営には、元6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)に土をつけ、計3度の激闘を演じた元2階級制覇王者のディモシー・ブラッドリー(米国)を育てたことで知られる名トレーナーのジョエル・ディアス氏(米国)が参謀についている。そのディアス氏は、こう不気味な発言をしている。
「ラモンは両手に破壊的なパワーを持っている。動きもいいし、ディフェンスもいい。ラモンが井上の右か左を(カウンターで)捕らえれば、井上を痛めつけるだろう。井上が痛い目にあうのは分かっている」
もし井上が力んでラフに倒しにいくようなことがあればそこにカウンターを合わせることを虎視眈々と狙っているのだろう。
メキシコ系米国人のカルデナスが、「シンコ・デ・マヨ」の追い風にのり、もしかすると、T-モバイルアリーナがアウエーの雰囲気になる可能性もある。
井上も「そうなれば相手にとって有利に運ぶでしょうね」と覚悟している。だが、いつどこで戦おうが、なんら変わらず力を発揮するのが井上の凄さ。
井上は、来週、再来週と2度ずつスパーを消化して10日前に現地入りする予定。弟で元WBA世界バンタム級王者の井上拓真と、いとこで先日、再起戦を戦ったばかりの井上浩樹の2人が同行して現地でマススパーなど最終調整を務めるという。
戦いの場が米国になったといえ、特にこれまでと調整のスケジュールを変えていないという井上は、「日本での試合が続いていたから、ラスベガスでやれることが約4年ぶりで、新鮮さ、楽しさがある。環境が変わり、時差とか食事面とか、そういうマイナス面だけでなく、プラス面として気分が上がる。本当に楽しみではありますね」と、ポジティブにコメントした。
“モンスター”はラスベガスでいったいどんな爪痕を残すのだろうか。