
「このマシンはとにかく難しい」レッドブル角田裕毅が違反でのタイム取り消し、赤旗中断を乗り越えて予選10位…ドイツメディアは「初めての小さな達成感」とQ3進出を評価
F1バーレーンGPの公式予選が11日(日本時間12日)に行われ、角田裕毅(24)がレッドブルへ移籍して2戦目で初めてQ3(最終3回目)進出を果たした。Q1(1回目)はトラックリミットでラップタイムを取り消され、Q2(2回目)では他車のクラッシュによる赤旗中断の影響を受けたが、いずれも最後のアタックでそれぞれ14番手と10番手に食い込んだ。Q3では10番手だったが、決勝へ向けて最低限の結果を残した角田だが、「このマシンはとにかく難しい」とコメントしている。
最終アタックで見せた勝負強さ
ハラハラドキドキの展開の中で角田が底力を発揮した。
バーレーンの日没後にスタートした公式予選。20台によるQ1の最初のアタックで1分32秒096とまずまずのラップタイムをマークした角田は、コース外走行を制限するトラックリミット違反があったとして記録を取り消された。
その後はピットインしたまま、18分間の走行時間が残りわずかとなった状況でアタックを開始すると、1分31秒751とこの時点で11位のラップタイムをマーク。最終的には14番手で15台によるQ2へ滑り込んだ。
新品のソフトタイヤを装着したQ2では、角田は開始早々から納得のいくラップを刻んでいた。しかし、フィニッシュ前にハースのエステバン・オコン(28、フランス)がクラッシュ。無念の赤旗中断でピットインを余儀なくされた。
Q2でも15分間の走行時間が5分を切った状況から再アタック。文字通りの一発勝負で1分31秒228とこの時点で6位のラップタイムを弾き出し、最終的には10位と踏ん張って上位10台が争うQ3への進出を決めた。11番手のアルピーヌのジャック・ドゥーハン(22、オーストラリア)とのタイム差は0秒017だった。
姉妹チームのレーシングブルズからレッドブルに緊急昇格した先週の日本GPではQ2の15番手に終わってQ3に進めなかった。14番手へ繰り上がってスタートした決勝でも12位と、ポイントを得られる10位に届かなかった。2戦目でレッドブル側から求められる最低限の結果を残した角田のレースを、ドイツのモータースポーツ専門メディア『MOTORSPORT.TOTAL.COM』はこう伝えた。
「レッドブル・レーシングにとって、Q1の最初のランを終えた段階では、先行きが非常に暗いように見えた。しかし、Q2に進んだフェルスタッペンと裕毅は、それぞれ9位と10位に食い込んだ。公式予選を通してブレーキの不具合をガレージに訴えていたフェルスタッペンのタイムから、角田はQ2を終えた時点で0秒209差と食い下がった。レッドブルでデビューした先週の鈴鹿でポイントゼロに終わった角田は、Q3への進出を果たしたことで初めて小さな達成感を覚えた」
英国メディアの『DAILY EXPRESS』は角田だけでなく、日本GPで今季初優勝した4年連続のドライバーズ王者、マックス・フェルスタッペン(27、オランダ)までもが敗退の危機に直面したQ1を次のように振り返っている。
「レッドブル・レーシングのガレージは、Q1での最終アタックを前にして神経を尖らせていた。フェルスタッペンも角田も行儀の悪い今シーズンのマシン、RB21から効果的なラップタイムを引き出せないまま、走行時間が残り1分になるまでエリミネーションゾーンに留まっていた。レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーにとっては、Q1、Q2ともに2人が最後のアタックで勝利を収めたのが幸運だった」