
記者が聞いた「今井上尚弥と戦って勝算はあるのか?」の愚問に中谷潤人が「見えていない」と答えた理由とは?…ドネア、ネリ、タパレスとの“モンスター前哨戦”にも興味示さず
プロボクシングのWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27、M.T)が14日、都内でWOWOW「エキサイトマッチSP」の番組収録に臨み、終了後にメディアに対応して、来春に東京ドームで予定されているスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)とのスーパーマッチや将来的なプランについての思いを語った。なお収録された「エキサイトマッチSP『中谷潤人vsクエジャル』『那須川天心vsモロニー』」(WOWOWライブ、WOWOWオンデマンド)は、4月28日午後9時から放送される。
「井上尚弥戦が最終目標ではない」
それは愚問だったのか?
2月24日に有明アリーナで同級6位のダビド・クエジャル(メキシコ)を3回KOに沈めた防衛戦の“セルフ解説”の収録をWOWOWのスタジオで行った中谷が終了後に囲み取材に応じた。
筆者はストレートに聞いた。
「今、戦って井上尚弥への勝算はあるのか?」
3月31日の年間表彰式で、井上から「1年後、東京ドームで、日本ボクシングを盛り上げよう」と、サプライズで対戦を呼びかけられた。中谷も笑顔で「ぜひやりましょう」と応じて立ち上がり、2人はガッチリと握手した。日本だけでなく海外からも関心が集まる1年後のスーパーマッチについて、中谷は笑いを浮かべてこう返した。
「まだ階級も違う。体作りもしないといけない。勝つためにといった勝算は見えていない。これから体重を上げて体を作っていくと、よりプラス部分が大きくなる。よりスピードも上がると感じている。パワーもつく。それからですね」
バンタム級に上げて4連続KO勝利中。中谷があまりにも規格外のファイトを続けているため、まだバンタム級の選手であることが飛んでしまっていた。
「勝算は見えていない」と言ったが「よりスピードが上がり、パワーもつく」とも言った。
「きついを通り越していた」と振り返るスーパーフライ級時代の減量苦からは解放されたとはいえ、身長1m72の長身で、まだ10キロ前後の減量がある。体重調整を余儀なくされる中で、本来のスピードとパワーが消耗しているとの自覚があるのだろう。バンタム級で最大のパフォーマンスを発揮できているわけではない。
言い方を変えれば1年後にスーパーバンタム級に上がれば勝算が見えてくる?
「おのずとついてくると思う。1戦1戦、丁寧にいいパフォーマンスをしていくことが自分の自信にも成長にもつながる。まずは目先のことをしっかりとやっていけたら」
中谷は、井上戦前にスーパーバンタム級でのテストマッチを行うことを希望している。
その中で挑戦に名乗りをあげていたのが、モンスターと2度対戦した元5階級制覇王者の“レジェンド”ノニト・ドネア(フィリピン)だ。42歳になるドネアは、かつて、フェザー級、スーパーバンタム級でも世界王者に君臨していて、米専門サイト「ボクシングシーン」の取材に応じて「118ポンド(バンタム級)のチャンピオン中谷と戦い、そして4団体統一王者に挑戦し、すべてのベルトを手にしたい。そしてモンスターと戦うとき、私はそれができると思っている。これが僕のゲームプランだ」と語った。
だが、中谷は「世界ランキング入っています?」と疑問を呈して「入っていない」ことを伝えると「どうなんですかね?ストーリー的にはいいのかもしれないが、そこまでの意識はなかった」と興味を示さなかった。