
日本ボクシング界からヘビー級“怪物”は生まれるのか…5.27後楽園でアジアヘビー級チャレンジ杯開幕…元K-1戦士、五輪金メダリストに勝った男、帝京サッカー部出身ビッグマンら16人が集結
最長身は、1m91の大沼ケン(角海老宝石)。彼もデビュー戦となるが、ナイジェリア人の父と日本人の母を両親に持つ、日本生まれの注目ボクサーの一人だ。名門の帝京高校のサッカー部出身。超大型FWだったが、怪我であまり試合に出られず、大学へ進学後、知人に誘われて角海老宝石ジムに入門した。まだ20歳の大学生。発表記者会見では、武器を聞かれ「ジャブとストレートで相手を倒していきたい」と答えたが、本当は「蝶のように舞い、蜂のように刺す。アリのようなボクシングを見せたい」と豪語したかったが「初体験の会見で勝手がわからなかった」と笑う。
「大学を卒業したらボクシング1本でいきます。今回の優勝、日本、東洋と、ステップを踏んで、絶対に世界を獲りたい」
角海老宝石には、かつて京太郎が所属していた。時折ジムへ顔を見せる京太郎とは、マスなどもしたことがないが「色々教えてもらいたい」ともいう。
昨年8月から、元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志や、元3階級制覇王者の八重樫東のフィジカルを鍛えたことで知られる土居進トレーナーのもとで、肉体改造に取り組んでいる。
土居トレーナーは「これまでの日本人ヘビー級の常識をくつがえすアスリート的な身体能力がある」と太鼓判を押す。
その大沼の対戦相手は、同じくデビュー戦となるフセイン・ロットフロ(天熊丸木)。彼も12戦7勝5敗のアマチュア経験がある。
また大橋ジムが送り出すのが、1m82、98kgの星龍之介だ。
WBO世界バンタム級王者の武居由樹が所属していた「パワーオブドリーム」の後輩の元K-1戦士。極真空手の世界6位を実績を引っ提げてキックに転向して第5代Bigbangヘビー級王者にもなっている。ボクシング転向後、昨年11月に韓国でデビューしてKO勝利を飾っている。
「ボクシングファンに、日本にはこんなにも強いヘビー級ボクサーがいるんだと見せて優勝したい。キックから参戦しているので、ボクサーとは違ったリズム、タイミングがある」
5月28日に世界戦を控える武居、同日にIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦に挑む力石政法らの小田原での走り込みを軸にした強化合宿にも参加、八重樫トレーナーの厳しい指導のもと、フィジカルを鍛え抜いた。今大会の優勝候補の一人だろう。1回戦では、その実力を評価されたのか、中国から参戦の1戦1勝(1KO)のジアイー・フワング(中国)と組まれた。
一発で決着のつくヘビー級だけに誰が優勝してもおかしくない。果たして、ヘビー級ボクサーの“原石”が初開催のトーナメントから飛び出すのだろうか。