
なぜ“最強”中谷潤人と“番狂わせ男”西田凌佑のバンタム級2団体統一戦が決まったのか…「ベルトを返上してでも」魂の直訴と所属ジム会長の男気…「井上尚弥戦への踏み台にはならない」
戦前予想は西田が不利だ。中谷は統一成功を前提に来春の東京ドームでの井上とのスーパーファイトが計画されている。
だが、西田は「踏み台にはならないぞという気持ちがある。簡単には負けるつもりはない。勝ちにいきたい」との覚悟を示した。
ーー逆に中谷を踏み台にして井上戦を横取りする気か?と聞くと、「その気持ちはある。(井上に)挑戦したい気持ちはある」と答えたものの「でも中谷選手は、そんなに簡単に勝てる相手じゃない。先のことより今回の試合のことしか考えていない」と足元を見つめていた。
西田は過去に何度も不利予想を覆してきた“番狂わせ男”である。
「向こうの評価が高いのはわかっている。パウンドフォーパウンドに入っている選手。これまで10戦で不利の予想も多かった。大森、比嘉戦も勝てないだろうと言われた。周りに何を言われても意見は気にならない。これまでも自分がやるべきことをやってきた。トレーナー、応援してくれている方を信じて自分の力を出す」
プロ3戦目で世界戦経験のある大森将平(ウォズ)に挑み判定勝利し、4戦目でWBOアジアパシフィックバンタム級王座をかけて元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)と対戦した。比嘉の地元沖縄に乗り込んだ地域タイトル戦も不利が予想されたが、アウトボクシングを徹底して比嘉のパンチを空回りさせた。IBFのベルトを獲得した昨年5月のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)との世界戦も前評判は不利だった。だが、武市トレーナーと戦略を練り、これまで不得意とされていたインファイトに新境地を見つけ、徹底したボディ攻撃で見事にタイトルを獲得した。
「武市トレーナーが作戦を立ててくれる戦術のおかげだった」という。
今回は、中谷の防衛戦後から、中谷戦を想定して、フィリピン人パートナー、池側純(角海老宝石)らサウスポーとのスパーリングをすでに100ラウンドも消化した。新たにWBAフェザー級4位、WBOス―パ―バンタム級4位のイライジャ・ピアース(米国)をパートナーとして招聘する。1m73ある中谷と同じく長身のサウスポー。22戦20勝(16KO)2敗の戦績を持つ世界を狙う強豪で、仮想中谷には絶好の相手である。
「どの距離でも戦えて、一番の強みはパンチ力。ディフェンスに特化したい。気持ちで負けないようにして、武市トレーナーとしっかり作戦を立てているので作戦通りに戦いたい」