
泥沼5連敗で最下位のソフトバンクはトレードなどの緊急補強をすべきか…近藤、柳田、正木ら主力の故障離脱続出で西武の隅田に0-1完封負け
ソフトバンクが19日、敵地のベルーナドームでの西武戦に0-1で敗れて5連敗を喫して最下位から抜け出せず借金が「5」に膨らんだ。西武先発の隅田知一郎(25)に4安打完封を許して、7回まで1失点と好投した大関友久(27)を援護できなかった。5連敗は2023年7月の12連敗以来の屈辱で、小久保裕紀監督(53)の体制になって初。主力に故障者が続出しているソフトバンクが浮上する手立てはあるのか。
2度あった得点圏のチャンスに三振、三振…
あと1点が遠かった。最後の打者となった栗原は、外角のストレートを見逃して三振に倒れると悔しそうに天を仰いだ。球界屈指の左腕に成長している隅田に4安打9三振の完封負け。球数は106球で、あわやマダックスの屈辱が重なるところだった。これで今季2度目の完封負け。前日に西武の今井―平良に珍しい「ノーヒットワンラン」を許した不振の打線がまたしても沈黙した。
チャンスがなかったわけではない
3回、牧原がレフトとショートの間に落とすヒットで出塁すると、小久保監督は、海野に送らせず、その初球にバスターエンドランを仕掛けた。打線を活気づけようと考えたのかもしれない。海野が期待に応え、空いた三遊間に引っ張って無死一、二塁とした。続く佐藤直にはバントで送らせて一死二、三塁の先制機を作った。だが、「1番・レフト」で今季初スタメンに抜擢された“育成三銃士”の緒方が見送ればボールの外角低めのチェンジアップに空振りの三振、今宮もフルカウントからボールゾーンへ落ちるチェンジアップに手を出して連続三振に倒れた。前に飛ばさねば何も起こらない。
西武からすればピンチの後のチャンスとなる、その裏に大関が二死一、二塁から4番のセデーニョに三遊間にタイムリーを許す。終わってみれば、この1点が勝負を分けることになった。
ソフトバンクは5回にも先頭の廣瀬のライトへの二塁打で得点圏に走者を進めたが、続く牧原が2球連続バントの構えをしたものの、ヒッティングに切り替わって三振に終わり、一死三塁の形が作れなかった。続く海野はレフトフライ。もし三塁に進めることができていれば同点犠飛だった。
攻撃はチグハグで、佐藤直もボールゾーンのチェンジアップに翻弄されて連続三振。またしてもスコアボードにゼロを刻んだ。
6回にも先頭の緒方がセカンドへの内野安打で出塁するも、今宮はバントを失敗、ヒッティングに切り替わったが、最悪の「6-4-3」の併殺打である。
泥沼の5連敗。2023年7月に喫した悪夢の12連敗以来、2年ぶりの“連敗地獄”にはまりこみ最下位からは脱出できなかった。
スポーツ各紙の報道によると、小久保監督は、三振はしてはいけない場面でバットに当てることができなかった技術不足を嘆き、「みんな必死に何とかしようとしている。ズルズルといくわけにはいかない」と危機感を訴えたという。
オフには、司令塔の甲斐がFAで巨人に移籍したが、物議を醸しながらも、元日ハムの上沢をメジャー経由で獲得するなど、戦力を強化して、リーグ連覇、日本一奪回を狙っているソフトバンクが、まさかの最下位である。
原因はハッキリとしている。相次ぐ主力の故障離脱だ。
ソフトバンクの野球に詳しいOBの池田親興氏は「まさに緊急事態」と警鐘を鳴らす。
「開幕から5番を任していた正木までが登録抹消となり、当初の構想から残っているのは山川だけ。そう点の取れない好投手の隅田に対して、最低限の仕事ができずにチグハグな攻撃が続いたが、予期せぬ怪我人だらけで、どう打線を組むかに追われていて、1球、1打をああだ、こうだと議論する状況にはない。セカンドに専念するはずの牧原が外野を守り、代打に集中するはずの中村晃が一塁を守っている時点で、すべてが緊急事態」