
「KUBOの周囲には常に誘惑の声が絶えない」レアル・ソシエダ監督の今季限り電撃退任で久保建英の移籍の可能性が高まる…地元メディア報道…アトレティコ・マドリードやリバプールが興味
ラ・リーガ1部のレアル・ソシエダに所属する日本代表MF久保建英(23)が、今夏に移籍する可能性が高まったとスペインメディアが25日に報じた。チームを6年半率いてきたイマノル・アルグアシル監督(53)の今シーズン限りでの電撃退任を、クラブのひとつのサイクルの終焉ととらえ、スペイン代表MFマルティン・スビメンディ(26)らとともに移籍を望むと見られている。久保にはアトレティコ・マドリードや英プレミアリーグのリバプール、ニューカッスル・ユナイテッドなどが関心を示している。
去就の焦点は欧州リーグの進出是非か
アルグアシル監督の今シーズン限りでの退任が電撃的に発表されてから一夜明けて、レアル・ソシエダを襲った激震がさらに広がった。
スペインのスポーツ紙『AS』は、指揮官の退任決定に伴うスビメンディと久保の動向を注視。2人を「ラ・レアル(ソシエダの愛称)の将来に継続性をもたせる柱」と位置づけた上で、スビメンディには本命に英プレミアリーグのアーセナル、対抗にはレアル・マドリードが名乗りをあげる獲得合戦が始まっていると報じた。
さらに地元出身のスビメンディが、リバプールと契約寸前になった昨夏に翻意。ソシエダに残留した例を引き合いに出しながら、久保に対してこう言及した。
「クボの場合は、感傷的な要素がない点でスビメンディと異なる。確かに日本代表選手はクラブに対して、疑う余地のないほどのコミットメントを示している。ラ・レアルも彼との契約を延長した2024年2月以来、お互いの状況をしっかりと把握していると考えている。しかし、クボの周囲には常に誘惑の声が絶えない。しかも彼は自身の将来を、ラ・レアルでプレーし続ける姿と結びつけたくないと考えている」
同メディアはさらに、ソシエダが来シーズンのヨーロッパの大会出場権を獲得できるかどうかに、久保の去就も大きく左右される、との見立ても示した。
残り5試合でソシエダは勝ち点42の10位。UEFAチャンピオンズリーグ出場権を得る、5位のレアル・ベティスとの勝ち点差は12ポイントとほぼ絶望的な一方で、ヨーロッパリーグ出場権を得る7位のセルタとの勝ち点差が4ポイント、カンファレンスリーグ出場権を得る8位のオサスナとの差は2ポイントとなっている。
「もしラ・レアルが来シーズンのヨーロッパの大会出場権を獲得できなければ、残留へ向けてクボを説得するのは容易な作業ではない。スター選手である彼は、競技面でもマーケティング面でもラ・レアルにとって極めて重要な存在であり、彼が去る事態に直面すればあらゆる面で大きな損失を被るだろう」
FC東京からレアル・マドリードへ移籍した2019年夏以来、久保はマジョルカ、ビジャレアルとヘタフェ、再びマジョルカと期限付き移籍を繰り返してきた。武者修行とはわかっていても、シーズンの終盤には居場所のなさを痛感し続けてきた。
一転してソシエダに完全移籍した2022年夏からは、チームの指揮を執って3年半が経っていたアルグアシル監督のスタイルのなかにようやく居場所を見つけた。2029年6月末まで契約を延長した昨年2月には、こんな言葉を残している。
「まだ契約年数が残っているなかでの契約更新ですけど、理由として選手や監督、チームスタッフ、応援してくれるファン・サポーターのみなさんとのフィーリングがすごく合っている点が決め手になりました。レアル・ソシエダがいま、成長期にあることは僕も理解しています。それと一緒に、僕もさらに成長していきたい」
成長期をもたらしたアルグアシル監督が、自らの希望で長期政権に幕を降ろした。後任にはソシエダBを率いるセルヒオ・フランシスコ氏(46)の昇格が決まったが、所属する選手たちはひとつのサイクルの終焉を感じている。