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6月19日に大田区総合体育館でWBOウエルター級世界王者に挑む佐々木尽。勝てばこの階級で初の日本人王者が誕生する
6月19日に大田区総合体育館でWBOウエルター級世界王者に挑む佐々木尽。勝てばこの階級で初の日本人王者が誕生する

6.19大田区で「むちゃくちゃ勝算がある」という佐々木尽は本当に日本人初のウエルター級世界王者になれるのか…36年ぶりの日本開催を実現した大橋秀行会長は「倒すか倒されるか」

 佐々木は、ノーマンの初防衛戦を視察にいき、挑戦状を叩きつけたが、この時点で話は決まっており、佐々木は「警備員をかきわけてもリングインするつもりだったが、失礼があって試合がなくなっても」と、リングには上がらなかった。
 ファイトマネーは不明だが、法外な要求はなかったという。今後のビッグマッチ前のちょっとした小遣い稼ぎのつもりなのかもしれないが、そういう時にこそ油断が生まれ“番狂わせ”が起きる。
 ノーマンは29戦27勝(21KO)無敗2無効試合の戦績を誇る右構えのボクサーファイター。1m73と小柄だが、黒人ボクサー特有の全身バネのような高い運動能力を持ち、スピード、パワー、テクニックに優れ、足を使ったアウトボクシングもインファイトもできる。昨年5月に暫定王者になったジオバニ・サンティリャン(米国)戦では、下馬評は不利だったが、壮絶な打撃戦を制して10回にアッパーで仕留めた。佐々木が視察した初防衛戦も3回に戦意喪失させた。
 それでも佐々木は臆さない。
「勝算はめちゃくちゃあります。勝てると思っている。勝たないとヤバイでしょう。ウエルター級で日本でやれる機会は一生に一回。これをものにしないと人生は終わり。人生をかけていく。負けたら死んでもいいくらいの覚悟。僕はボクシングだけしかやっていない」
 そしてこうぶちあげた。
「KOしか考えていない。盛り上げてなんぼ。そこはぶらさず。一番は勝ちに徹する。自然とおもしろい試合になる流れ。楽しみにしている」
 佐々木は米国で挑戦状を叩きつけた際の印象としては、オ―ラはなかったが、「黙々とやる本物のプロボクサー」と感じた。
「ラスベガスで聞いた情報では、バネも技術もあるが、パワーが凄いという話。弱点はない。本当に強い」
 ただ横に並ぶと「僕の方が1センチ高かった」。体格とフィジカルは佐々木が上。佐々木は、柔道出身で腕っぷしと体幹の強さは他のボクサーとは違う。
「スピードとパワーは負けていない自信がある。相手を研究して作戦を組んでいく」
 中屋一生会長の父で会長を退いてからはトレーナーとして佐々木を育ててきた中屋廣隆氏は、“打倒ノーマン”のその作戦を隠すくことなくこう明かす。
「1ラウンドからいけと。ガードの上から思い切り叩けと、相手の腰が引けるくらいに。尽も倒される可能性も多いにある。でも勝負はできますね。勝つか、負けるか50%の確率」
 いちかばちかの1ラウンドの電撃速攻作戦。19勝(17KO)のKO率が示すように佐々木の武器は、その世界レベルのパンチ力。さらに「後半勝負に持っていく手もある。我々日本人には根性がある。メンタルが強い。(外国人に比べて)身体的には劣っているが努力してここまで尽は上がってきた。培われたメンタリティでの勝負。倒すには、この2つがポイントになる」と続けた。
 大橋会長も「1ラウンドから行くと言ったら行くと思う。倒しても倒されてもそこで終わる確率の高いスリリングな1ラウンドになるね」とその作戦を支持した。
 もちろん佐々木にも覚悟がある。
「盛り上げないといけないんで行きますよ。僕は性格的にもディフェンシブじゃない。攻撃が最大の防御なんでがんがんいく」
 実は「10何回」もノーマン戦の夢を見た。
 なぜか先に音楽にのって入場しているのが王者のノーマンで「だんだん目が真っ赤になって、怪物みたいになった」という。「こいつはやばいとこっちも気合を入れた」が、佐々木はバンテージもシューズもはいておらず、控室に戻ると、そこは学校で授業を受けているシーンに変わったという。
 実際の試合をしているシーンの夢も見た。だが、1、2ラウンドが終わったところで目が覚めて、冷や汗をびっしょりとかいたらしい。
 その序盤戦は「まず先にダウンを取られて、僕が取り返して会場が盛り上がった。相手がまた立ってきた」という。
「実際、ありえますよね。その展開が理想かも」

 

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