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阪神前監督の岡田彰布オーナ付顧問がTG戦の中継に特別ゲストで出演した(資料写真・黒田史夫)
阪神前監督の岡田彰布オーナ付顧問がTG戦の中継に特別ゲストで出演した(資料写真・黒田史夫)

「(藤川監督は)いらんことをする必要はない。どんと構えて采配する方がいい」伝統のTG戦中継に出演した阪神の岡田彰布オーナー付顧問が画面を通じて送った新指揮官へのメッセージとは?

 88年ぶりの対巨人開幕6連勝のかかっていた阪神が27日、甲子園で巨人に1-2で逆転負けを喫した。プロ入り2度目の先発となったドラフト1位の伊原陵人(24)が6回を4安打1失点と踏ん張ったが、先制点を奪った打線は2回以降沈黙。1-1で迎えた9回に守護神の岩崎優(33)が代打岸田行倫(28)に勝ち越しのタイムリーを許して敗れた。中継した朝日放送の特別ゲストを務めたのは前監督でオーナー付顧問に就任している岡田彰布氏(67)。一味違う目線で、阪神の藤川球児監督(44)の采配などについて鋭い意見を熱弁した。

 「(近本、中野、佐藤と)左は3枚並べない方がいい」

 やはり阪神を18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に導いた”名将”岡田顧問の野球を見る目は一味も二味も違う。体調不良で、京セラドーム大阪での始球式などのイベントを欠席していたが、この日は、元気な姿で甲子園の解説席に座り、岡田顧問が師と仰ぐ、故・吉田義男氏の追悼試合として行われた伝統のTG戦の特別ゲストを務めた。
 岡田節は一回から全開だった。この日は、現役時代の吉田氏の背番号「23」を全員が着用してプレーしたが、先発の伊原を「投げっぷりとか身長を見ていたら背番号23が似合っている」と表現して笑いを誘った。吉田氏の「23」が永久欠番となったのは、2度目の監督退任時。岡田顧問の阪神入団時の背番号は「16」だが、当時「23」が空いていて選択肢にあったとの裏話も披露した。
 阪神は1回に今季初先発となる堀田の立ち上がりを攻めて近本がセンター前ヒットで出塁した。続く中野は手堅くバントで送った。岡田顧問は「勝っている時はあまりいらんことせえへん方がいい。負けていると初回からエンドランで1点じゃなく2、3点を取りにいって悪循環になる」という見方をしていた。
 藤川監督は、佐藤、森下、大山のクリーンナップの並びで開幕したが、15日のヤクルト戦から佐藤と森下の打順を入れ替えた。岡田顧問はその変更を評価した。
「左が(近本、中野、佐藤と)3人並ぶよりいい。森下は3番のほうがいい。心配しているのは大山。一番つらいというか開幕から良くない。本人は納得していないと思う」
 岡田顧問の監督時代は、森下、大山、佐藤の並びでクリーンナップを形成していた。
「クリーンナップは誰がどこを打ってもいいんですよ。(だから4番は)どしっと年長者の大山にね。一番打ちやすいのが3番、次が4番、5番が一番きつい」
 1985年に初の日本一となった吉田阪神では3番バース、4番掛布、5番が岡田顧問だった。
 その大山が先制タイムリーを三遊間に放った。
 岡田顧問は、途中、大山が昨年オフにFA宣言を行使し、巨人との争奪戦の末、阪神残留を決断したことについても触れた。
「どうなるか見守っていたけど、残って良かったんじゃないですか。なかなか巨人にいったら甲子園に来られない。来ないといけないんだけどきついですよ」と、らしい表現でその決断を支持した。
 前進守備を敷いていたレフトの萩尾が懸命のバックホームでクロスプレーになったがセーフの判定。阿部監督がリクエストを求めたが、岡田監督は「ワンバウンドは土のグランド(の甲子園では)ではアウトにならない。浜風でレフトからの返球も真っ直ぐにこない」と甲子園でのダイレクトのバックホームがいかに難しいかを説明した。監督時代に中継プレーを徹底したのはそれが理由でもあった。
 鋭い指摘があったのは3回の阪神の守備隊形だ。一死二、三塁で阪神の内野陣は1点OKで引いて守った。だが、岡田顧問は「(一塁の)大山は前に来た方がプレッシャーはかかるのにね。前に来てない。ランナーがピッチャー。一塁、三塁が前に来たらスタートは切れない」と指摘した。
 三塁走者は投手の堀田だった。結局、吉川のセカンドゴロで同点にされたが、こういう細やかな戦略的な守備が今の阪神には欠けているのかもしれない。

 

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