
「(藤川監督は)いらんことをする必要はない。どんと構えて采配する方がいい」伝統のTG戦中継に出演した阪神の岡田彰布オーナー付顧問が画面を通じて送った新指揮官へのメッセージとは?
阪神は2回以降ノーヒットだった。ベンチは状況を変えようと4回一死一塁で坂本の打席でアクションを起こした。岡田顧問は「もったいない」と指摘した。カウント3-1から坂本に仕掛けたエンドラン。坂本は、低めのカットボールをひっかけて投手ゴロ。走者を二塁に送ることができたが、岡田顧問はこう意見した。
「慌てる必要はないですよ。3-2になったらどうなるかわからない(四球もある)のに先に仕掛けてしまった。相手が警戒していないのに先に仕掛ける必要はない。この回は伊原まで回すこと。この回は点が入らなくいい。次1番からでいい」
結局、伊原まで回らなかった。
5回には二死一、二塁の勝ち越し機があったが、4番の佐藤が見逃せばボールのチェンジアップに手を出して三振に倒れた。
「インコースにいかないね。12球団の4番でデッドボールゼロは佐藤だけ。みんないかない。岡本も3、4つあるんだけどね。厳しいのをあまりいっていない」
正確には、岡本は3死球で、ヤクルトのオスナも死球ゼロだが、巨人の配球に疑問を投げかけ、佐藤がその外角球に狙いを定めるべきだと提言した。
佐藤には「いいスタートやけどまだ先は長い。調子の波を少なくしないといけない」と苦言も呈していた。佐藤はリーグトップの8本塁打に同2位の22打点と好スタートを切っている。ブレの少ない打撃フォームと、力まず最短距離でバットを出すことを覚えて変化は生まれつつはある。だが、この日のノーヒットに終わるなど、調子の波の不安は見え隠れしている。
そして岡田監督が、藤川監督の用兵に疑問を呈したのは、7回一死から3番手の左腕中川に対して代打に糸原を起用したシーンだ。
「ここは渡邉をいっていいのにね。(巨人の)ブルペンを見て延長で左は出てこない。渡邉を置いていてもしょうがない。この風やし右を絶対いかんと。ケラー、大勢、マルティネスと左がいないから、ここでいっとかないと、いくところがない」
こういう展開の先の先を読む部分が岡田顧問らしい。
糸原は空振りの三振に倒れた。
そして結果論ではなく、この糸原の代打起用が9回の最後の反撃シーンの用兵につながっていくことになる。9回に岩崎がキャベッジに逆方向に二塁打を浴び、バントで送られ、代打の岸田に三遊間に勝ち越しのタイムリーを許したが、その裏、まったく同じようなチャンスが阪神に巡ってきたのだ。