
「僕と井上尚弥とでは倒しにいくスタイルが違う」井岡一翔がWBA王者との再戦に向けて独自のスキルと戦術でのリベンジを誓う
プロボクシングの元4階級制覇王者の井岡一翔(36、志成)が28日、東京目黒区の所属ジムで5月11日に大田区総合体育館で行われるWBA世界スーパーフライ級王者のフェルナンド・マルティネス(33、アルゼンチン)との再戦に向けての練習を公開した。昨年7月7日に判定負けして以来のダイレクトリマッチは、当初大晦日に予定されていたが、王者のインフルエンザ罹患で中止となっていた。前戦では、倒しにいく超攻撃的スタイルで臨み空回りした。世界戦で10連続KO勝利をしているスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)の影響を受けているのでは?との声もあったが「まったくない」と否定。「彼と僕とはスタイルが違う」と井岡独自のスタイルでリベンジ戦に挑む考えを明かした。
「自分が成長しないと勝つことはできない」
準備は整った。
王者のインフルエンザ罹患で前日に中止となった大晦日から、さらに4か月。再戦に向けてプラスされた時間を井岡は有意義に使った。
「いい状態に仕上がっていると思います。昨年7月に負けてから、その感覚をベースにチームと考えている戦い方を意識して大晦日に中止なった試合に向けてずっと練習をやってきた。そこからまたいい時間を作れた。さらに練習をやった分がプラスになった。新たに感じることもあったし、長く時間をかけるのは大切なこと。対策や考え方をより深く落とし込めた。自分自身が成長しないと、勝利すること、上回ることはできない。そこは意識した」
米国ラスベガスでの合宿を張らずに今回も国内調整。海外からIBF世界同級5位で2023にはWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M.T)と対戦して判定までもつれこんで敗れたアルヒ・コルテス(メキシコ)を呼び、アンダーカードに出場する同門のWBA世界同級8位の吉良大弥らと約100ラウンドのスパーを消化してきた。
昨年7月7日の試合ではポイントアウトを徹底せずに超攻撃的スタイルで真っ向勝負を挑んだ。結果的にその戦略が裏目に出た。
井岡はその前戦の2023年の大晦日でホスベル・ペレス(ベネズエラ)を7回KOで倒した。明らかにこのあたりからファイトスタイルに変化が見られ、10連続KO防衛を続けている井上尚弥の影響を受けているのはないか?という見方が業界内にあった。
井岡にその質問をストレートにぶつけた。
井岡は「自分よがりになった部分はあったかもしれない」とマルティネスに敗れた試合の反省を口にしたものの、井上尚弥の影響については「まったくない」と完全否定した。
「彼がKOしている記録、試合は彼のスタイルのひとつとしてパフォーマンスとして出せて成り立っている。僕とはまったくスタイルが違う。彼が見せている技術的な部分と、僕のスタイルで倒しにいくのは別。影響を受けているということはない。(僕が見せているのは)倒しにいく気持ちの面とか、立ち向かう姿勢」
そして前回の超攻撃的スタイルについてこう説明した。
「その戦略がベストだと思って戦った。1ラウンドは、はまったが、2ラウンドから(相手が)戦い方を変えてきた。見え方として(相手に)いい見え方、メリハリをつけさせてしまった。戦略的には、彼の得意なボクシングを潰すことだった。そこに入り込む部分と、切り替える部分(が必要だったが)、戦術と気持ちがずっとそこに留まってやりきってしまったのが、前回の結果だった」